INTERVIEW 05

青梅で生まれる音色を奏でる
音楽家

金井 隆之

  • 多摩川の清流に誘われて

    金井さんが移住自体を考え始めたきっかけは、2011年のあの出来事だった。「音楽やアートに携わる多くの友人たちが、東日本大震災を機に地方に移住し始めたんです。そんな彼らを間近に見て、住む場所を変えることもアリなんだなと気付かされました」と金井さん。以降、音楽イベントで地方都市を訪れる機会が増え、ぼんやりしていた“移住”の2文字がどんどんクリアになっていくのを感じていた。そして迎えた2020年のパンデミック。“音楽は不要不急”という衝撃的な言葉にぶつかることになる。池袋にレッスン用の部屋を借りていた金井さんは、2021年になり状況が変わらない日々を過ごしながら、このまま都心に部屋を借りていて意味があるのか?という疑問を消せずにいた。そんなとき、国立音大時代にもよく行っていたという多摩川上流へ足を向ける。「川のほとりに座って、ぼーっとしていたら心地よくて3時間も過ぎていて。これはもう多摩川に呼ばれたと思いましたね」と微笑む。2021年10月、金井さんの移住計画が始まった。

    自治体のサポートで手に入れた最高の仕事場

    尾道などの地方都市にも惹かれていたという金井さんだが、仕事仲間や両親との距離を考え、大田区から青梅市へと移住を決めた。「仕事仲間がいる東京にいれば、都心から離れても仕事を続けられると思いました。自然あふれる場所に住みたいが、都心からも離れたくない。そう考えたとき青梅はベストな選択でした」と語る。さらに移住を後押ししたのが、青梅市が2021年度に実施していた感染予防対策用の住宅改修補助金制度だ。「フリーランスの音楽家として自宅でリモートワークをするにあたり、防音の窓ガラスやドアに変更したり、二重窓にしたりと改修でき、本当に助かっています。仕事がしやすいようにと最大限に条件を適用していただき感謝しかありません」。金井さんは、気兼ねなくオンラインレッスンやレコーディング、声楽や楽器の練習ができる“最高の仕事場”を青梅で手に入れた。

    鳥たちと住環境をシェアする日々

    釜の淵公園から徒歩10分ほどの場所に、金井さんが暮らすマンションはある。移住を決心させた多摩川がマンションのすぐ隣を流れ、窓を開ければ川のせせらぎが聞こえてくる。「どの部屋の窓からも多摩川沿いの緑が見えて最高なんです。ベランダが特にお気に入りで、メールチェックをしたり、お酒を飲んだり、気づけばずーっとベランダにいることも」と笑顔がこぼれる。ベランダでヒヨドリと、川のほとりでシラサギとかなりの至近距離で遭遇し、鳥も驚く表情をすることを知ったり、鳴き声でいつものあの鳥だ!と気づけたり。「鳥の声をイメージして作曲された楽曲もあるんですよね。ここに来てその作曲家の気持ちがわかるようになりました」と金井さん。いまだかつてないほどの自然音に包まれて暮らす日々は、音楽家に多大な影響を与えているようだ。

    青梅から文化的な発信を担う存在に

    音楽やアートなど文化的なものは都心に集中する。だから都心に出ていく。「都心でなくても、あるいは都心では味わえないこの土地ならではのカルチャーが青梅にはある!と多くの方に実感してもらえるよう音楽活動を続けていきたい」と金井さんは意欲を語ってくれた。これから青梅の自然や人々と関わることで、どんな音色を奏でるのだろう。

     

    Profile

    金井隆之 | 音楽家

    東京都大田区出身、30代。声楽やギター演奏を中心にフリーランスの音楽家として活動。2022年2月に青梅市に移住し、マンションでのひとり暮らしを満喫中。オンラインで音楽レッスンを行うかたわら、さまざまな音楽家とのコラボイベントも多数行っている。金井さんのお気に入りスポットは、銘酒「澤乃井」で有名な「小澤酒造」。

     

    取材:2022年8月

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