Interviewインタビュー

INTERVIEW 24

人生の後半を豊かにする拠点づくり
青梅に新築の住まいを構えた国際カップル

ブライアン・バークウィスト
恵子・バークウィスト

  • 海外から日本へ。人生の転機となった移住

    アメリカ・シアトル、そしてハワイ。海外での生活を経て、バークウィスト夫妻が新しい拠点に選んだのは東京都青梅市だった。ブライアンさんはシアトル出身、恵子さんは東京都日野市出身。10代から海外で暮らしていた恵子さんはブライアンさんとシアトルで出会い、その後ハワイで8年間生活してきた。

    日本への移住を考えるきっかけになったのは、恵子さんの両親だった。「両親が90歳近くになり、そろそろ近くに住みたいと思ったんです」。日本への移住はブライアンさんにとって海外移住でもあったが、「君はきっとそう言うだろうと思っていたよ」と背中を押してくれたという。

    恵子さんはグラフィック・WEBデザイナーとして、ブライアンさんはハワイの法律事務所のITチームをまとめる仕事を日本からリモートで続けられることが決まり、夫妻は日本へ生活の拠点を移した。

    多摩地域限定で探した「ふたりの拠点」

    日本へ移住したあと、ふたりは恵子さんの実家がある日野市で賃貸住宅に住んでいた。しかし次第に、「自分たちの拠点となる家を持ちたい」という思いが強くなっていったという。理由のひとつは働き方だった。夫妻はともにリモートワークが中心で、日常の多くを家で過ごしている。「日本の住宅は、海外で長く暮らしてきた私たちから見るとどうしても狭いイメージがあります。家で仕事もしますし、ゆったり過ごせる空間がほしいと思ったんです」と恵子さん。

    ふたりが考えた条件は、ゆとりのある土地に家を建てること。目安としていたのは、およそ60坪ほどの土地だった。さらに恵子さんの両親の近くに住めることも大切な条件だった。そのため候補となったのは、東京西部、多摩地域。いくつもの土地を見て回るなかで、ふたりの関心は次第に青梅へと向かっていった。暮らすことを想定しながら、青梅にも何度か足を運ぶようになったという。移住前には青梅大祭も見に来た。「素晴らしいお祭りだなと思いました。昔ながらの文化や歴史が息づく街っていいなと思いましたね」。

    自然と人の温かさ。青梅を選んだ理由

    理想的な土地が見つかり、青梅に家を建てることを決意したバークウィスト夫妻。青梅を気に入った理由を尋ねると、まず挙がったのは自然の近さだった。「川などの自然があるところがいいと思いました。駅から歩いて10分くらいでこの環境があるのは魅力でしたね」。そう話すブライアンさんは、シアトル郊外の自然に囲まれた地域で育った。森や湖が身近にある環境で過ごしてきたこともあり、自然の近い暮らしは大きな魅力だった。

    さらに印象的だったのは、地域の人の温かさだったという。土地を探しているとき、近所の人が声をかけてくれたり、地元のお祭りに誘ってくれたりと、思いがけない交流が生まれた。「人がとてもフレンドリーですね。初めて青梅に来たときから歓迎されている感じがしました」とふたりは笑う。実際に土地探しの最中に知り合った人たちが、不動産情報を教えてくれたり、地域の行事に誘ってくれたりすることもあったという。

    「都会の利便性と、田舎の自然が混ざっている感じが面白いですね」。ブライアンさんは、そんな青梅の雰囲気を「トカイナカ」という日本語で表現する。都心へのアクセスがありながら、自然に囲まれた環境。そしてゆとりある土地。そうした条件を満たす場所として、青梅はふたりにとって現実的で魅力的な選択肢だった。

    また、青梅に移住することを考えたとき、真っ先に市役所の移住サービスを検索したという恵子さん。そこで移住相談窓口でたくさん相談にのってもらい、移住支援金制度を活用したという。「こういう制度がある自治体と、ない自治体ではやっぱり違いますよね。同じくらい魅力的な場所なら、サポートがある方を選ぶと思います」と当時を振り返る。

    青梅で叶えた、ふたりの理想の暮らし

    2025年10月、バークウィスト夫妻は青梅市梅郷に新築の住まいを完成させた。大きな窓と吹き抜けのある、開放感のある住まいだ。家づくりで大切にしたのは、ゆとりのある空間だった。都心で同じ条件の家を建てることは現実的には難しかったという。「青梅だったからこそ、この広さが実現できたと思います」と恵子さん。

    この家には、夫婦それぞれの仕事部屋がある。さらに趣味のための部屋もひとつずつ設けた。リモートワークが中心のふたりにとって、家は仕事場であり、同時に自分の時間を楽しむ場所でもある。恵子さんは絵を描いたりアート制作をしたりする時間を楽しみ、ブライアンさんは読書や盆栽などの趣味を楽しんでいる。それぞれの仕事と趣味で活用エリアを住み分けることでお互いのプライベートも尊重し合える。これも家づくりでこだわったポイントだった。

    ブライアンさんの仕事はハワイ時間に合わせているため、朝4時ごろに起きて仕事を始め、午後2時ごろには仕事が終わる。「家で過ごす時間がとても快適になりました。朝早く仕事をして、午後は庭に出たり、本を読んだりしています」。盆栽の手入れをしたり、ランニングをしたりと、ゆったりとした時間が流れている。

    青梅で理想の暮らしを叶えたおふたりだが、正直「残念だった」ものはないのだろうか。「あえて挙げるとすれば…」とおふたりが口を揃えて教えてくれたのは、ピザのデリバリーだった。「ピザはアメリカ人にとってソウルフードなんですが、このあたりは配達エリア外なんですよ」とブライアンさんは笑う。もっとも、それも青梅らしい暮らしの一部だという。恵子さんは冗談まじりに「それなら自分たちで店をやろうか、なんて話もするんです。朝食専門店『ハワイアン・ブライアン』なんて面白いかもしれませんね」と話してくれた。

    青梅での暮らしはまだ始まったばかりだ。取材時は冬だったため、山歩きやアウトドアはこれからという段階だが、ふたりはこの町での生活に期待を膨らませている。「暖かくなったら、山を走ったり、多摩川の周辺を散策したりしてみたいですね。青梅を拠点にすれば、週末旅行で訪れるような大自然にも、コンビニに行くくらいの気軽さで出かけられますから」。

    自然の近くで暮らしながら、仕事を続け、趣味の時間も楽しむ。海外生活を経て日本に戻り、人生後半の新しい拠点として選んだ青梅。ふたりの新しい暮らしが、この街で静かに始まっている。

    Profile

    ブライアン・バークウィスト | Director of IT and Security
    恵子・バークウィスト      | グラフィック・WEBデザイナー

    ブライアンさんはアメリカ・シアトル出身の50代。ハワイの法律事務所に所属するITディレクターで、米国のサイバーセキュリティ資格「CISSP」を保有。趣味は盆栽、読書、写真、トレイルランニング。恵子さんは東京都日野市出身の50代。米国・スペインで就学経験を持ち、大手IT企業を経て、複数の法人立ち上げやアプリ開発に携わって来たが、近年は仕事のボリュームを調整しながら移住や家づくりに取り組んできた。絵や観葉植物の手入れが好きで、初めて描いた仏画は周囲を驚かせる出来栄え。
    ふたりの共通の趣味はスポーツ観戦と登山、お気に入りの場所は「吉川英治記念館」。建物と秋の紅葉に感動し、年間パスを購入したという。

     

    ※取材:2026年2月

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